「馬賊」・・・第一次世界大戦後の中国、広い大陸には山賊や匪賊が溢れ、それらからの
略奪行為を警察や軍隊では防ぎきれていませんでした。
そこで村々は自衛手段として、自警隊と手を結んでいました。日本人はその組織を
「馬賊」と呼んでいたのです。
彼らはその呼び名通り馬を良く御して大地を駈け、そして拳銃の名手揃いでもありました。
日本の新潟に生まれた大日向健作は、祈祷師に「大盗賊になる相がある」と出生の際に
言われていました。
少年の頃から彼は中国大陸に漠然とした憧れを抱いて育ち、大陸へと渡るためにひたす
らに働き、資金を貯めていきます。
そしてついに大陸に足を踏み入れてからが、その波乱極まる人生の始まりでした。
彼はそこで馬賊に出会い、仲間を得て、争いに生き、恋を知り、罪に苛まれ、そして己の
生きる使命を再確認して、また生きていきます。
『狼の星座』は、特殊な時代の中国大陸に生きた日本人の人間ドラマと言う一作です。
またこの大日向健作にはモデルとなった実在の人物がいたと言う事で、「馬賊戦記」と言う
朽木寒三の手による伝奇小説の主人公・小日向白朗がその人物です。
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