広く長く深い中国の歴史。私はそれまで読んだ事の無かった時代に小説などで手をつけ
ると、見方が偏らないようにと、他の本も読むようにしているのです。
陳舜臣氏の「太平天国」を読んだ時もそうでした。この時代については全くの無知だった
ので小説「太平天国」はとても面白く読み進めたのですが、例によって「他の本も読むか」
って思い、探しついて手にしたのがこの「洪秀全と太平天国」でした。
小説ではどこが資料に基づいていて、どこが創作の部分なのかってのがわかりにくいん
ですが(知らない時代なら余計にですね)、こういう本なら丁寧に「『天父聖旨』によると〜」
と言うように参考文献からきちんと紹介されているので安心して読めます。
で、この本を読んでいると実の多くの資料を基に書かれてるなってのが分かりますね(偉
そうですか?)。
なかでもよく紹介されている清朝側の記録の「賊情彙簒」は面白い記述が多いです。
逆に太平天国側の記録や文書は理想を説いた物や、衆人を昂揚させようとした物など、
その時々の太平天国の状況によって訴え方が変わっているのが分かり、面白いですね。
岩波書店の本は沢山読んできてますが、この岩波現代文庫ってのは初めて手にしました。
文庫ながら紙もカバーも印刷もキレイで良い本ですね。
まぁそれなりなお値段になってますが(文庫約300Pで\1,100)。
ハードカバーの「中国の英傑 洪秀全−ユートピアめざして−」ってのも同内容なんです
ね。気付かずに買いそうになりましたよ。
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