春秋時代の越国に仕えた人物、范蠡です。
字は少伯(?〜?)。

春秋五覇のひとりに数えられる。越王勾践に仕え、その覇者への道をよく補佐しました。

主に軍事についての補佐をおこない、有名なエピソードとして次のような話があります。
あるとき越国の隣の強国である呉国が越国に攻め込んで来ました。
まともにぶつかっては勝ち目はないということで范蠡は奇計を用います。
それはまず死刑が決まっている罪人を兵隊として出陣させ、敵である呉軍の前で一斉に自害をさせると言うもの。
はじめは越軍が出陣するたびに攻撃してくるのではないかと警戒していた呉軍も、その自害を数回眼前で見ているうちにすっかり油断して見入ってしまうようになりました。
呉軍の警戒が解けたのを見て取った范蠡は、正規の軍を出陣させ油断している呉軍を一気に攻撃。
おおいに呉軍を打ち破り、さらには呉王闔閭に矢傷を負わせ、闔閭はこの時の傷が元で死亡したと言います。

やがて勾践は覇者と呼ばれるまでに国を増強させますが、范蠡は有頂天になっている勾践を見て越から出国します。
これは勾践の人物を見て、苦労は共に出来るが歓楽は共に出来ない人物であると見抜いたためでした。
范蠡は自分と同じく功臣である文種に、危険を避けるようにと手紙を出します。手紙を受け取りその意をうけた文種は病と称して出仕しないようにしました。しかし勾践に文種は謀反を考えていると讒言する者がいました。これを真に受けた勾践は文種を自殺に追い込みました。

越を去った范蠡は名を変えて商売をおこない巨万の富を得ました。しかし宰相として迎えたいと言ってくる国があり、范蠡は商売で得た財産を全て他人に分け与え他国へ移ります。
范蠡はまた名を変えて商売をおこない、やはり巨万の富を得るに至ったと言います。

君に仕えては功績を上げ国を富ませ、引き際を察して危難を逃れ。晩年は市井にあって商売で巨万を富を得ますが、惜しみなくそれを他人に分け与えるという人物。
あまりにも隙がなさ過ぎますが、なんとも魅力溢れる人物ではないでしょうか。

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